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増村保造レトロスペクティブ

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1,080円(税込)

増村保造は、最も好きな日本映画の監督です。 そして、若尾文子も、日本の女優の中では一番愛している人。
当然主な作品はほとんど観ていたのですが、中でも『刺青』(1966)の絵作りの美しさは絶品で、 名手・宮川一夫が撮影した作品の中でも一二を争う出来だと思う。
エロティシズムとは何を意味するものか、 若尾の肌や声の艶、目線、仕草ひとつでビシビシと伝わってくる凄まじさを感じる傑作なのです。

『WEIRD MOVIES A GO! GO!』で日本映画特集をした経緯もあって 、増村のレトロスペクティブをやりたいと大映(現在角川映画)さんからお話をいただいた時は狂喜乱舞したものです。
結局宣伝美術一式からやらせていただき、パンフ兼書籍として発行した本書は、 人着写真を用いた表紙のヴィジュアルはもちろんのこと、隅々まで考え抜いて構成し、 写真のスキャンも自分で納得出来るまでレタッチしたりして、情念の鬼のような増村イズムが乗り移ってた気がします。

幸運なことに若尾さんにインタヴューさせていただく機会にも恵まれ、第一声をお聞きした時は本当に卒倒しそうで(笑)。
以前ワイドショーで、還暦を迎えられた際に出演される舞台のためのインタヴューの模様を偶然観たのですが、 リポーターに還暦、還暦と、話のきっかけごとに口走られることにキレ、 席を立ってしまわれたのを観ていて驚いたことがありました。 つまりは女優であり、女である若尾文子しか存在していないんですよ、彼女の中に。
排泄を想像されるので人前では水も飲まないといわれていた方だけに、 僕の取材でもピリピリした空気が流れるのを恐れていたのですが、 インタヴュー自体は非常に盛り上がり、『浮草』(1959)に出演された際の 小津安ニ郎監督の演出方法をお聞きしたりと楽しいことこの上なし。 そして、生声の艶はやはり堪らないものが…。 『増村保造 意志としてのエロス』(筑摩書房)という名著を書かれた 映画評論家・山根貞男さんに羨ましがられたのもいい思い出です。
初期の軽妙酒脱なロマコメから、最晩年を除いてほとんど駄作なしの傑出した才能は、 『スチュワーデス物語』などの過剰演技ドラマにそのスタイルだけを流用されて形骸化するも、作品の力は風化せず。

初心者は『くちづけ』『青空娘』あたりを導入に、『妻は告白する』『清作の妻』 『赤い天使』で女の怖さと強さを知り、『卍』『盲獣』あたりで人間の業を知ると良いのでは。
(伊藤 談)

書        籍        名 『増村保造レトロスペクティブ』
著                 者 荒井 良二
出        版        年 20006/11
版                 型 ----
I      S      B     N 978-4939102172
定                 価 1.050円(税込)